今回の小生の手記は「日本の常識・世界の非常識」についてお話いたします。

国に永く住んでいますと日本の常識と世界の常識との違いについて頭を悩ませる事が多々あります。頭を悩ませる程度で済めば問題ないのですがこれが大金を失う事や、命に関わる問題となれば大変な事です。小生が体験した大きな事件について今回はお話いたします。

金を失ったお話は以前、皆さんにお話していると思いますが小生がニュージーランドに所有していたゴルフ場の売買の残金が支払ってもらえず、裁判においても敗訴したと言う事です。前回の手記をご覧になっていない方のためにもう一度簡単にお話いたしますとこのニュージーランドの法制度は日本と同じ三審制度で運用されておりますが、その他に信じられない制度が160年前からありました。

小生もその様な制度があることを知らなかったばかりにニュージーランドの最高裁において完全勝訴したにもかかわらず、その制度により逆転敗訴になり7年の歳月と投資した何億円もの大金が一瞬にして消え去りました。その制度とは英国がニュージーランドを不法占拠した時から作られたようで、原住民のマオリ族に対し与えた権利のようです。

つまり日本でも昔、将軍や天皇陛下に直訴した例がありますね。その制度とまったく同じ制度で、プレヴューカウンセル(枢密院裁判)と言われるエリザベス女王が開廷する裁判です。

の裁判は英国が統治している国では行われているようでオーストラリアやカナダでも行われているようです。小生はこのニュージーランドがその様な法制度があることは一度も耳にしたことが無く、ニュージーランドの最高裁勝訴判決後に被告から控訴され初めて知りました。そしてこの法廷の判決の出し方に驚嘆いたしました。この法廷の判決の出し方は厳格のみと言う事です。

法律と言うものは厳格な考えの基に施行され、公正な判断の基に執行されなければいけません。ニュージーランドの最高裁は公正な判断に基き判決を執行されました。その判決をロンドンの裁判所は2時間の審議の基逆転いたしました。

その理由は売買契約書の内容についてでした。最高裁は売買契約書に至る経過を十分検討した上その書かれている内容を十分に解釈した上被告が詐欺的行為を行ったと理由付けました。しかし、ロンドンは契約書に至る経緯は問題とせず、契約書その物で判断を下しました。

こで小生が問題にしたいのは、ニュージーランドは独立国家であり又、国連にもエイペックやアセアンにも英国の代理国として参加しているわけでもありません。又、通貨もニュージーランドドルと言う独自の通貨を発行しております。

小生がこの国に投資したときも投資マニュアルに最後の審判は英国でと言う事は一行も書かれておりませんでした。小生はニュージーランドに投資したのであって英国に投資したのではありません。そのニュージーランドの最高裁で勝訴判決を得ながら他国の英国でたった2時間の審議の上、逆転敗訴になる事など夢にも思いませんでした。

この制度については2000年にニュージーランド政府がこの英国の枢密院裁判を廃止する計画を遂行する予定という記事が新聞に出されました。
小生の言う日本の常識、世界の非常識の一つに入るでしょう。

は命に関わる問題です。
小生はこのニュージーランドにおいてNZ・JPボランティア協会の会長をしております。その活動内容は初めてニュージーランドに来て投資や家の購入・貿易等を考えている方に小生が今まで経験した事などを話し、適切なアドバイスをしている事です。何故その様な事を行っているかと言うと近年、日本人を狙った悪質な詐欺や不法行為が多発している事にあります。

小生は弁護士ではない為、法律的なアドバイスは出来ませんが、事実に基づいたお話を無料で行っております。事実過去5年間で数十件の問題を解決してきました。その中には何千万円の詐欺行為や数十ドルの件に至るまで解決いたしました。

平成14年4月には日本総領事館の野田領事さんに協力して邦人の為の安全マニュアル(日本総領事館からのお知らせ)を作成し被害に遭われない為の注意書きを総領事館に置いておりますのでご覧下さい。

かし、ここに一番悪質な例をお話いたします。
これは実名でお話いたします。なぜならばこの事は裁判によって有罪判決が確定したからです。

事件は平成12年2月27日に起こりました。小生はO氏夫妻より相談を持ちかけられました。その相談は日本にあるN銀行の窓口に居る副支店長のT氏の所にニュージーランドの情報を聞いた折、T氏より良い建築屋が居るから家を建てないかと持ちかけられO氏は大銀行の副支店長の話を信じてニュージーランドにT氏の紹介する大工によって家を建てました。

その家は手抜き工事の家で金額も同意した金額以上のものでした。又、O氏はこの工事により大工からT氏に100万円ものリベートが渡されたと言う事も分かったそうです。小生はその件とT氏にまつわる疑問を聞く為に大工の家に来ていたT氏をO氏夫妻と共に訪ねました。

そこで事件が起こりました。小生が話を切り出したところそのN銀行副支店長のT氏は突然小生に暴行を加えました。小生は彼の暴行されるがままにされ全治一ヶ月の怪我を負わされました。その件について山口地方裁判所は平成13年11月27日にT氏の暴行傷害を有罪と認める判決を出しました。

小生はその判決文と共に事の詳細をN銀行頭取のフランクチカット氏に送りました。しかし、彼からの返事は無く東京支店長から「判決文は読んだ、T氏の処分については何も言えない」とのことでT氏は現在でも何の社内的処分は受けないばかりか有罪判決が下りて半年が経とうとしているのに被告のT氏から一言の謝罪もありません。

日本の銀行であれば暴行傷害事件を起こし有罪となった犯人を銀行の窓口に置くことも無いでしょうし、それなりの懲戒処分を科せるでしょうがN銀行は外国の銀行ゆえ未だに処分されないとはこれも世界の非常識の一つと言えるでしょう!

生がここで日本の常識、世界の非常識のパート2としてあげる事は暴行傷害が発生した直後ニュージーランドの救急車と警察に連絡いたしました。救急車が到着したのは事件発生後40〜50分後でその救急隊員の第一声は医療費が支払えるかと言う質問から始まりました。

病院に到着後も医療活動は4時間にわたって行われず、小生が無理を押して日本に帰国し治療を行った理由はその事でニュージーランドでは十分な医療活動が受けられないと判断したからです。

もう一つは警察の対応です。3時間後に到着した警察官は加害者のT氏を逮捕する事無く簡単な事情徴集で帰りました。小生の身内の度重なる要求に対しニュージーランドの警察署は「この問題は日本人の敷地内で起こった日本人同士の事件であるので当方は関知しない」との事でした。
これも世界の非常識でしょう!

小生はこのままこの問題を放置しておくわけには行かない為、日本の有能な弁護士に相談いたしました。その弁護士のご尽力によりTT氏を日本において暴行傷害事件として民事・刑事にて告訴する事が出来ました。今の時代、世の為人の為に行うボランティア活動も命がけでやらなければいけない時代が来ている事の悲しさを痛感しております。 しかし小生は体力の続く限り日本国民の義務としてこれからニュージーランドに来られる日本の人達の為にボランティア活動は続けていくつもりです。

以上の2点からのお話でわかるように我々日本人は日本の環境に慣れすぎている為、日本の常識を世界の常識に当てはめられると考えがちですが、この2つの大きな事件は日本の常識と世界の非常識を物語る大きな教訓となるでしょう。


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